あやめ野スミアル』に突然舞い込んで来た訪問者です。
体長4〜5センチの小さなネズミでした。
ハツカネズミなのか、それとも別のネズミなのか、
驚くほど素早く動くため、保護までに3時間もかかりました。

数日前から部屋の中に何かがいる気配はしていたものの、
それがネズミであるとは思いもしませんでした。
とは言え、この訪問者とは同居出来なかったため、
3時間に及ぶかくれんぼの後に、致し方なく和解することに。

ここに定住することは出来ませんが、
寒い夜に出て行ってもらうのも忍びないので、
ノートパソコンの空き箱に入ってもらい、一夜を明かして頂きました。
底の深いダンボールの上部は辞典で塞いでいましたが、
訪問者は保護する時に用いたティッシュペーパーなどに隠れて
おとなしくしておりました。

夜食にと砕いたクッキーをお出ししました。しかし、それを食べたかは不明です。
砕かずにそのまま置いておけば分かったかも知れませんが、
小さな隙間から入れざるを得なかったので砕いて入れたのです。

一夜明けて、いよいよお別れの時を迎えました。
と言っても、お別れの挨拶をしようものなら、
訪問者は再びかくれんぼをしたい欲求に駆られると思ったので、
箱ごと外に出てもらいました。

箱を横たえ辞典をどけても、訪問者は直ぐには旅立とうとしません。
居心地が良かったのか、それともすねているのか。
致し方なく箱を逆さまにすると、
丸まったティッシュペーパーと共に訪問者が出てきました。
そして驚いたように一目散に消えて行ったのです。
寝ていたのかもしれません。

こうして訪問者は旅立ちました。

かくれんぼで見つかった時に、こちらをじっと見つめている表情が忘れられません。
この絵はその時の様子を記憶の限り思い出して描いたものです。
姿形は微妙ですが、あのつぶらな瞳だけはそっくりだと思います。

HOME    戻る


inserted by FC2 system